「生きているのなら、神様だって殺してみせる」

これは、望まぬままに万物の生の綻び——死線を視る力「直死の魔眼」を得た独りの少女の物語。
名を両儀式という。
もとより「彼女」は自身に課せられた運命を無関心なまま受け入れていた。しかし、その生に疑問を抱いた刹那、皮肉にも二年もの昏睡状態に陥ることに。
やがて、目覚めの刻は訪れる。
そのとき、世界は変わっていた。
否、違っていたのは己だった。
かくして煌めくナイフを握り、日常と非日常の狭間に棲む怪異を追うことが唯一の生きる糧となる。
……見守る眼差しがあることを知りながら。

物語を綴るのは、ビジュアルゲームとして爆発的な人気を博し TVアニメ化もされた
『月姫』『Fate/stay night』の生みの親、TYPE-MOONのストーリーテラー・奈須きのこ。
両作品と世界観を共にするこの小説は、1998年秋、パートナーであり原画も手がける武内崇とのHP「竹箒」上にてweb小説『空の境界式』として掲載。2001年冬に同人小説『空の境界』として刊行され、2002年秋にはドラマCD化。
2004年初夏には講談社ノベルスとして出版、各書籍ランキング上位を記録。新伝綺ムーブメントを招き異例の伝説を打ち立てる。
そして、2007年。
七章からなる物語は、作品世界そのままに前代未聞の〈七部連作映画〉へと進化を遂げる。
あえて一本の映画ではなく、七章完全映像化という偉業に挑むのは、クオリティの高さと独自のテイストで知られるufotable。
これまでTVアニメ『まなびストレート!』『コヨーテラグタイムショー』『フタコイオルタナティブ』などを手がけているが劇場版は初となる。
果たして、式の視る世界、混沌の渦あるいは万物の根源ともいわれる『 』、魔術と魔法、それらの言語にどんな映像を捧げるのか——。
第一章『俯瞰風景』を皮切りに『殺人考察(前)』『痛覚残留』『伽藍の洞』『矛盾螺旋』
『忘却録音』『殺人考察(後)』と順次、テアトル新宿にてレイトショー公開。
 
おそらくこれは新たなる伝説の幕開けで、まごうことなくとても奇麗で禍々しい、奇跡。

原作